第二場
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親鸞聖人居間
清楚《せいそ》な八畳、すみに小さな仏壇がある。床に一枚《いちまい》起請文《きしょうもん》を書いた軸が掛かっている。寝床のそばに机、その上に開いた本、他のすみに行灯《あんどん》がある。庭には秋草が茂っている。
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人物 親鸞《しんらん》 唯円《ゆいえん》 僧二人 小僧一人
時 同じ日の宵《よい》
親鸞寝床にすわって僧二人と語っている。
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僧一 ではやはりお会いなさいませぬのですな。
親鸞 うむ。(うなずく)
僧二 私もせっかくそのほうがよいと思っていたのです。
僧一 同行衆《どうぎょうしゅう》の間にいろいろな物議が起こってはおもしろくありませんからな。
僧二 口さがない世の人々はどのようなうわさを立てるかわかりません。また若い弟子《でし》たちのつまずきになってはならぬと思います。
僧一 若い弟子たちの間にはだんだんと素行の乱れたものもできだしたようでございます。木屋町のあるお茶屋から出て来るのを見たと申すものもございます。
僧二 世間ではそ
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