の跳躍術の一つ。
その他水を利用して、さまざまの忍びを行うのが、葉迦流忍術の目的なのである。世の勝れた忍術家なるものは、勿論、科学者ではあったけれど、更に夫れ以上忍術家は、心霊科学で云う所の、「霊媒(ミイジャム)」であったのであった。
霊媒とは霊魂の媒介者である。
人間は現在活きている。だが人間はいずれ死ぬ。さて死んだら何うなるか? 勿論肉体は腐って了う。しかし霊魂は存在する。これ霊魂不滅説だ。その霊魂は何処にいるか? 霊魂の世界に住んでいる! そうして夫れ等の霊魂は、活きている人間と通信したがる。しかし普通の人間とは、不幸にも絶体に通信が出来ない。そこで特別の器能を備えた、――霊魂の言葉が解る人間――即ち霊媒を要求する。
霊媒とは霊魂のどんな言葉をでも、解し得る所の人間なのである。
のみならず勝れた人間になれば、草木山川の言葉をも――宇宙の生物無生物の言葉。それをさえ知ることが出来るのである。
そういう人間は此浮世に、極わめて稀に存在する。その中の或者が夫れを利用し、勝れた忍術家となったのである。
由井正雪は丘を下り、どこへとも無く行って了った。
こうして深夜五更とな
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