《かかそうしゃ》」と云われている。
その目的とするところは、性の享楽ということなのだ。
で、これと[#「これと」に傍点]目星をつけた、美男の住んでいる家の玄関へ、今云ったような張り紙をし、それから轎《かご》で迎いに来るのだ。
男は絶対に拒絶することが出来ない。もし拒絶しようものなら、その男一人ばかりでなく、その男の一家一族までが、ひどい惨害に遭うのだからね。
この国における女の勢力! それは到底日本の比でなく、全く恐ろしい程なのだ。今日ばかりではなく事実この国の――支那の、ずっと昔からの、習慣であるということが出来る。則天武后だの呂后《ろごう》だの、褒似《ほうじ》だの妲妃《だっき》だのというような、女傑や妖姫《ようき》の歴史を見れば、すぐ頷かれることだからね。
しかしそれにしても僕のようなものへ、白羽の矢を立てて召そうとは、尠《すくな》くも僕にとっては以外だったよ。
と云って何も僕という人間が、醜男だったからと云うのではない。自画自賛で恐縮だが、僕という人間は君も知っている通り、かなりの好男子であるはずだからね。
僕の云うのはそう云う意味からではなく「僕のような生活を生活
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