鴉片を喫む美少年
国枝史郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)酣《たけなわ》と
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)清国|上海《シャンハイ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)譎詐《きっさ》[#「譎詐」は底本では「譎作」]
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(水戸の武士早川弥五郎が、清国|上海《シャンハイ》へ漂流し、十数年間上海に居り、故郷の友人吉田惣蔵へ、数回長い消息をした。その消息を現代文に書きかえ、敷衍し潤色したものがこの作である。――作者附記)
友よ、今日は「鴉片を喫む美少年」の事について消息しよう。
鴉片戦争も酣《たけなわ》となった。清廷の譎詐《きっさ》[#「譎詐」は底本では「譎作」]と偽瞞とは、云う迄もなくよくないが、英国のやり口もよくないよ。
いや英国のやり口の方が、遥かにもっとよくないのだ。
何しろ今度の戦争の原因が、清国の国禁を英国商人が破り、広東で数万函の鴉片を輸入し――しかも堂々たる密輸入をしたのを、硬骨蛮勇の両広《りょうこう》総督、林則徐《りんそくじょ》が怒って英国領事、エリオットをはじめとして英国人
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