得る方法は?」
「長命《ながいき》することと金を溜めることさ」
洵《まこと》にあっさり[#「あっさり」に傍点]した答えであった。
2
「どうしたら金が溜まりましょう?」
「働いて溜めるより仕方がない」
「その癖先生はお見受けする所、ちっとも働かないじゃありませんか」
「うん、どうやらそんな格好だな」
「働かないで溜める方法は?」
「よくこの次までに考えて置こう」
一向張り合いのない挨拶であった。
「どうしたら長命が出来ましょう」
「いろいろ方法があるらしい」
「それをお教え下さいませんか」
「俺には解っていないのだよ」
「物の本で読みました所、内丹説、外丹説、いろいろあるようでございますね。枹木子《ほうぼくし》などを読みますと」
「ほほう、それではお前の方が学者だ。ひとつ俺へ話してくれ」
李白これには閉口してしまった。
ある日東巖子が李白へ云った。
「天とは一体どんなものだろう?」
「ははあこの俺を験《ため》す気だな」
すぐに李白はこう思った。
「道教の方で申しますと、天は百神の君だそうで、上帝、旻天《びんてん》、皇天などとも、皇天上帝、旻天上帝、維皇上帝、天帝などとも、名
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