岷山の隠士
国枝史郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)隴西《ろうせい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)素面|欄鉤《らんこう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「日/高」、第3水準1−85−36]《こう》
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1
「いや彼は隴西《ろうせい》の産だ」
「いや彼は蜀《しょく》の産だ」
「とんでもないことで、巴西《はせい》の産だよ」
「冗談を云うな山東《さんとう》の産を」
「李広《りこう》[#「李広《りこう》」は底本では「季広《りこう》」]の後裔だということだね」
「涼武昭王※[#「日/高」、第3水準1−85−36]《りょうぶしょうおうこう》の末だよ」
――青蓮居士謫仙人《せいれんこじたくせんにん》、李太白の素性なるものは、はっきり解《わか》っていないらしい。
金持が死ぬと相続問題が起こり、偉人が死ぬと素性争いが起こる。
偉人や金持になることも、ちょっとどうも考えものらしい。
李白十歳の初秋であった。県令の下《もと
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