驚いた。
「旦那、そりゃあ本当のことで?」
「嘘をいって何んになるかよ」
玻璃窓の平八江戸を離れる
「聞きてえものだ。教えてくだせえ」
「どこかで大船《おおぶね》を造っているのさ」
「へへえ、ナーンだ、そんなことですかい」
「なんだとはなんだ。なんだではないよ」
「だがね、旦那、少しおかしいや。なにも大船を造るのに、大工を攫わなくてもよさそうなものだ」
「いやいや、それがそうでない。造り主が大変者《たいへんもの》なのだ」
「大変者って、何者なので?」
松五郎はいくらか熱心になった。
「一口にいうと日蔭者《ひかげもの》だ」
「どうも私《わっち》には解らねえ」
すると平八は声を落としたが、
「教えてやろう。海賊だ」
「ははあ、海賊? ナール、日蔭者だ」
「しかも一通りの海賊ではない。やはりこれは赤格子だ。そうでなければその余党だ。そいつがどこかでご禁制の船を、建造しているに相違ない」
益※[#二の字点、1−2−22]声を落としたが、
「小松屋、そこで頼みがある。あすかないしはあさって頃、船脚が遅くて小さな船で、そうして金目《かねめ》を積み込んでいる、つまり海賊に襲われそう
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