人」
「ナニ、五十人? それは大きい」
「ええ、大きゅうございます」
「ところで、いつ頃から始まったんだ?」
「秋口からポツポツとね」
「どんな塩梅《あんばい》になくなるのだ?」
「どうもそれがマチマチで、こうだとハッキリいえませんので」
「まず一例をあげて見れば?」
「神田の由太郎でございますがね、随分有名な棟梁《とうりょう》で、それが羽田へ参詣したまま、行方《ゆくえ》が知れないじゃありませんか」
「おお、そうか。で、その次は?」
「業平町《なりひらちょう》の甚太郎、これも相当の腕利きですが、品川へ魚釣りに行ったまま、家へ帰って来ないそうで」
「おお、そうか。で、その次は?」
「龍岡町の鋸安《のこぎりやす》は、仕事場から姿が消えたそうで」
「ふうん、なるほど、面白いな」
「まったく変梃《へんてこ》でございますよ」
「で、見当はついてるのか?」
「なんの見当でございますな?」
「当たりめえじゃねえか、人攫いのよ」
「それならついていませんそうで」
「呆れたものだ。無能な奴らだ」
「へえ、さようでございますかね」
「たった今耳にしたばかりだが、俺には目星がついている」
これには松五郎も
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