致しておる」
「御意《ぎょい》の通りにございます」
「で、水夫《かこ》どもは今おるかな?」
「二、三人おりますでござります」
「ちょっと訊きたいことがある。多人数はいらぬ、一人出すよう」
「かしこまりましてござります」
 やがてそこへ現われたのは、八助という水夫《かこ》であった。
「八助というか、恐れなくともよい。遭難の様子を話してくれ。……で、賊船は幾隻あったな?」
 八助はオドオド顫えながら、
「へえ、親船が一隻で」
「櫓《やぐら》の格子は赤かったかな?」
「いえ、黒塗りでございました」
「ナニ、黒塗り? ふうむ、そうか」平八は小首を傾げたが、「無論、帆船であったろうな?」
「へえ、さようでございます」
「異《かわ》ったところはなかったかな?」
「へ? なんでございますか?」
「帆の形だ。帆の形だよ」
「へえ、べつに、これといって……」
「普通の型の帆船であったか?」
「へえ、さようでございます」
「ふうむ、そうか。……ちょっと変だな」
 考えざるを得なかった。
「で、大砲でも打ちかけたか?」
「なかなかもって、そんなこと」
「大砲二門、備えている筈だ。そんなものは見かけなかったか
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