の上へ起き上がった。
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関所越えれば旅の空
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「あなた!」と女房は取り縋った。
「うむ」といったが、耳を澄ました。
「あの唄声でございます!」
「いやいやあれは……人間の声だ!」
「甚三の声でございます!」
「そっくりそのまま……いや異う!」
「亡魂の声でございます!」
「待て待て! しかし似ているなア」
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碓井《うすい》峠の権現さまよ……
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 だんだんこっちへ近寄って来た。
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わしがためには守り神
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 もう門口へ来たらしい。
 浪人は刀をツト握った。そっと立つと夜具を離れ、足を刻むと戸口へ寄った。
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追分、油屋、掛け行燈に
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 聞き澄まして置いて浪人は、そろそろと雨戸へ手をかけた。
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浮気ごめんと書いちゃない
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「うん」というとひっ外した。抜き打ちの一文字、横へ払った気合いと共に、跣足《はだし》[#「跣足」は底本では「洗足」]で飛び下りた雪の中、ヒヤリと寒さ
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