うか? 死んだとしたら殺されたのであろう。
可哀そうな彼の運命よ!
だが私の物語は、ここから江戸へ移らなければならない。
家斉《いえなり》将軍と中野|碩翁《せきおう》
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赤い格子に黒い船
ちかごろお江戸は恐ろしい
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こういう唄が流行《はや》り出した。
十数年前にはやった唄で、それがまたもやはやり出したのであった。
恐ろしい勢いで流行し、柳営にまで聞こえるようになった。
時の将軍は家斉《いえなり》であったが、ひどくこの唄を気にかけた。
「不祥の唄だ、どうかしなければならない」
こう侍臣に洩らしさえした。侍臣達はみんな不思議に思った。名に負う将軍家斉公ときては、風流人としての通り者であった。どんなはやり唄がはやろうと、気にかけるようなお方ではない。ところがそれを気にかけるのであった。
「珍らしいことだ。不思議だな」こう思わざるを得なかった。
ある日お気に入りの中野碩翁《なかのせきおう》が、ご機嫌うかがいに伺候した。
「おお播磨か、機嫌はどうだな」将軍の方から機嫌をきいた。
「変ったこともございませんな」
碩翁の方
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