横]

 最初に部屋へ入り込んだは、幸いにも猿若少年であったが、こう民弥《たみや》へ囁いた。
「声を立てちゃあいけませんよ。俺らは怪しい者ではない。お前さんを助けに来たものだ。さあさあ逃げたり、お逃げお逃げ! オッとそうそう縛られていたっけ。これでは逃げるにも逃げられめえ。よしきた俺らが解《と》いてやろう。……いやいやそれでは間に合わない。切ってしまおう切ってしまおう!」
 常時《いつも》懐中《ふところ》に用意している小刀を引き抜くと、バラバラと縄を切り払ったが、「さあさあこっちだ、裏から逃げよう、まごまごしていると取っ捉まる。……お聞きよお聞きよ、足音がする! 人買共の足音だ! 入って来られたら大変だ! 目つけられたら大事になる! ……俺らの身分は後から云う! ……心配はいらない心配はいらない! ……黙って付いて来るがいい」
 こうして民弥を裏口から下ろし、自分も裏庭へ飛び下りたとたん、人買共がドヤドヤと、戸口から部屋の中へ入って来た。
「おっ、どうした、居ないではないか!」こう呶鳴《どな》ったのは例の一ツ目。
「やっ、裏口が開いていらあ」続いて叫んだのは勘八であったが、直ぐに裏口へ
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