たのであった。しかし一人に大勢であった。先《ま》ず懐刀を奪い取られ、続いて足を攫われた。悲鳴を上げたが駄目であった。
縛られてこの部屋へ入れられたのである。
「ああどうしたらいいだろう?」
民弥はじっと[#「じっと」に傍点]考え込んだ。
人買共の話声が、階下から遠々しく聞こえてくる。
隣部屋から泣声がする。やはり民弥と同じように捕らえられた不幸な娘たちが、監禁されているのだろう。
「ああどうしたらいいだろう」
またも民弥は呟いた。
と、にわかに笑声が、階下の座敷から聞こえてきた。続いて人買の親方の桐兵衛の喋舌《しゃべ》り声が聞こえてきた。
「ヨーこいつはいい所へ来た、遠国廻りのお仲間か。さあ上るがいい上るがいい。ちょうど上玉が一人ある。早速売り渡すことにしよう」
――どうやら鴨川から上陸した、遠国廻りの人買が、桐兵衛の家へ着いたらしい。
だがその時一枚の雨戸が音もなく戸外からスルスルと開けられ、顔を覗かせた子供があった。
誰なのか、猿若である。
しかしその時階段を上る、人の足音が聞こえてきた。桐兵衛の手下の人買が、民弥を連れに来たのらしい。
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