」だの「哥老会」だの「六合会」だのというような、秘密結社がたくさんあったが、その中の「白毫会《びゃくごうかい》」という結社には、日本人も会員に加わってい、乞食の上州と宣《なの》った人物も(本名は富本雄之進《とみもとゆうのしん》とのこと)鮫島大学も会員であって、支那とそうして日本との間を密行していたそうな。
富本雄之進は正義の士で、将来の日本の大陸進出のため、支那の内情を知ろうとして、白毫会員になったのであるが、鮫島大学はそうではなく、私利私欲を計ろうとして、白毫会員になったのであり、支那の悪質の娯楽場の組織を、江戸へ持って来て打ち立てて、詐欺的行為までしたのであり、なお彼は支那から帰国する際に、白毫会の支部長(これも日本人)の娘で、雄之進の許嫁にあたる、お妻というのを誘惑して来て、娯楽場の酒場のスターにしたが、阿片常用者にまで堕落させてしまった。
しかしその当の大学も、許嫁のお妻を取り返すため日本へ帰って乞食にまでなり、大学を探していた雄之進のために、竹光で刺されて殺されてしまい、外国渡来の悪質娯楽場も、おりからの「ぶちこわし」の火事にかかり、まったく灰燼となってしまった。
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