7[#「27」は縦中横]
自分の家の金蔵の中に、どうして源右衛門と源三郎とが、血だらけになっていたのだろう? 鮫島大学の姦策からであった。一味の悪漢東三をして、加賀屋の蔵番に住み込ませたのは、かなり以前からのことであり、大金を盗ませようとしたのである。
で昨夜手下の松本という男を、町役人に仕立て上げ源右衛門へこんなことを云わせたのである。
「源三郎殿には悪所通いをはじめ、おびただしいまでに金を使われる。恐らく御身代へも穴をあけたであろう。充分御注意なさるがよい」と。……
そこで源右衛門が驚いて、金蔵へ行って調べたが、そこを背後《うしろ》から東三が斬り付け、負傷失心して倒れたところへ、大学方から送って来た、――金八という男が運んで来て、木戸をこじ[#「こじ」に傍点]開けて舁《かつ》ぎ入れた、これも失心した源三郎を押し込め、そうしてその手へ血刀を握らせ、それから大金を奪い取り、大学方へ渡したのである。
源右衛門の行方が知れないと知ったら、加賀屋では官へ届けるであろう。すぐに役人がやって来て、金蔵なども調べるであろう。そこでそういう光景を見ると、官ではきっと思うであろう。――源三郎
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