んで出かけて参りましょう」
「いかさまこれはもっともで」
話がここで切れてしまった。
手綱を引いて君江が行く。馬に揺られて小一郎が行く。一見長閑な旅である。
どこへ向かって行くのだろう? ズンズン行けば桐窪《きりくぼ》へ出る。それでは桐窪へ行くのだろうか?
それにしても一式小一郎は、芹沢の里に建てられてあった、冷泉華子の道場の、水に充たされた垢離部屋から、どうして出ることが出来たのだろう? それこそ何んでもなかったのである。高い窓から遁がれたのである。水が窓から流れ出るまで、小一郎は垢離部屋で立泳ぎをしていた。そうして流れ出る水と一緒に、窓から外へ出たのである。窓が大きくなかったら遁がれ出ることは出来なかったろう。幸いに窓は大きかった。で、出ることが出来たのである。もしまた南部集五郎が、さらに一層注意深く、窓まで水が浸《つ》く前に、早く樋口を引いたなら、遁がれ出ることは出来なかったろう。集五郎は周章《あわ》てていたようである。で、樋口を掛け放しにして、華子へ知らせに走ったのであった。そうしてその後に起こったのが、あの凄まじい乱闘で、そうして乱闘の行われている間に、窓まで水が浸い
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