今日が日まで、あの桔梗様を心から、愛しているのでございますよ」
「それを知らないでどうしましょう。妾は以前《まえ》から知っておりました」
「ええとところで桔梗様の方でも、私を愛しておりますので」
「それもあなたから一再ならず、承わった筈でございますよ」
「で、桔梗様が目付かったとすると、どういう結果になりましょう」
「どういう結果になりましょうとも、妾には関係ございません」本当に関係がなさそうに、君江の調子には変わりがなかった。「この妾といたしましては、あなたを愛しておりますので、ただそれだけでございますよ」
「しかし」と小一郎はやや物鬱《ものう》く、「競争になるかも知れませんなあ」
「いずれは競争になりましょう」やっぱり君江は変わらないのである。「あなたを取り合って二人の女が、競争することでございましょう」他人事《ひとごと》のような調子である。
「さあどっちが勝ちますやら」かえって小一郎の方が不安そうである。
「はい、妾が勝ちますとも」
「随分自信がありますようで」今度は小一郎は可笑《おか》しくなった。
「そういう自信がないことには、何んで妾がお供をして、桔梗様をさがしの旅などへ、進
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