味方の一人を目前において、討って取られた一ツ橋家の武士達は、かえって怒りを発したと見える、四、五人一度に声を掛け合わせ、同時に猛然と飛びかかって来た。
が、その結果は駄目であった。
七福神組の六人が、一斉に上げた六本の太刀が、廻わりながらの薙ぎの手で、サ――ッと一度に下ろされた時、数声の悲鳴がすぐ起こり、つづいて仆れる音がした。
四、五の死骸が野に転がり、その死骸から血が吹き出し、飛沫のように散った先が、煙りのように茫と霞み、月の光を蔽うたので、月が血煙りに暈《ぼか》されて、一瞬間赤く色を変え、まるで巨大な酸漿《ほおずき》が、空にかかったかと思われたが、それを肩にした弁天松代が、
「こんなものだよ、驚いたか! 七福神組の卍廻わり、そう甲斐|撫《な》でには破れない! 相手になろうよ、幾度でもかかれ! ……乗り越せ乗り越せ! さあ進め!」死骸を向こうへ飛び越した。
「オッと合点! さあ行こうぞ!」
群像は、形を崩さずに、松代の後に従って、死骸を向こうへ飛び越した。
左へ廻わる。右へ廻わる。そうして先へ進んで行く。
次第次第に一ツ橋勢は、後へ後へと押されて行く。
だがこの時背
前へ
次へ
全229ページ中178ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
国枝 史郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング