らの薙《な》ぎの手だ、サ――ッとばかりに振り下ろした。すぐに起こったは悲鳴である。つづいて起こったは仆れる音! 一本の刀に脳天を割られ、一本の刀に肩を切られ、もう一本の脇差しに肋《あばら》を刎ねられた一ツ橋家の武士が、悲鳴を上げて仆れたのである。
「こんなものだよ!」と愉快そうな声! 弁天松代が云ったのである。「乗り越せ乗り越せ! さあお進み!」ポンと死骸を飛び越した。
「合点!」と同音! 六人の部下だ。これも死骸を飛び越して、タッ、タッ、タッ、タッと押し進んだ。
群像は進んで行くのである。依然グルグル廻わるのである。
蒼白いは桔梗様の顔である。月に向かって曝らされている。翻えるは桔梗様の袖である。蝙蝠《こうもり》が翼を振るようだ。
手組輿の上の桔梗様は廻わされるままに廻わっている。生死のほどは解らない。されるままになっているのである。
四十三
ひた[#「ひた」に傍点]走るひた[#「ひた」に傍点]走る七福神組! 芹沢の里の方へひた[#「ひた」に傍点]走る! こうして首尾よく七福神組は、桔梗様を救うことが出来るだろうか。
いやいやそれは出来そうもなかった。
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