廻わっている。ダラリと下がった両袖が、廻わるに連れて翻《ひるが》えり、風を孕んでハタハタと鳴る。蝙蝠《こうもり》が翼を振るようである。
 背後《うしろ》には館が立っている。黒々と立っている態《さま》が、異国の魔塔を想わせる。
 右手に煙っているものは、月光に暈《ぼか》された海である。
 何んだろう、あれは、点々と、左手に見える赤いものは? 芹沢の里の燈火《ともしび》である。
 依然行手には一ツ橋勢が、抜き身を揃えて並んでいる。
 それらのものに囲まれた、深夜の広い野の上で、群像が廻わっているのである。
 そうして先へ進むのである。
 変わった見物《みもの》と云わざるを得ない。
 と、松代が声を上げた。
「さあさあ右へお廻わりよ!」
 群像は右へ廻わり出した。
「今度は左だ! 廻わったり!」
 群像は左へ廻わり出した。
 白刃が光る、足が揃う、群像がグルグル渦を巻く。
「お進みお進み、さあお進み!」弁天松代の指揮である。
 廻わりながら群像は進み出した。
 凛々《りり》しい松代の姿である。裾をキリキリと取り上げている。両袖を肩で結んでいる。深紅の蹴出《けだ》しから脛《はぎ》が洩れ、脛には
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