たが、人影がムラムラと集まって来た。すなわち幾個《いくつ》かの建物に、閉じこもっていた武士どもが、南部集五郎の声に応じ、得物得物をひっさげて、楓の植え込みを包囲するように、一度に集まって来たのである。
「やあ方々!」と南部集五郎は云った。「曲者はそこだ、植え込みの中だ! 押し包んで一気に乱刃に、討ち取りなされ、討ち取りなされ!」
「心得てござる!」
と十五、六人は、抜いた白刃を「突き」に構え、植え込みの中へ突き行った。
「おっどうした!」「これは不思議!」「いないではないか!」
「一人もいない!」
まさしく楓の植え込みの中には、人の子一人いなかった。
駈け引き自在の七福神組達、形勢非なりと見て取るや例の神速の行動で、七人七方へバラバラと、潜行してしまったに相違ない。
正しくそれに相違なかった。
次の瞬間にあちこち[#「あちこち」に傍点]から、喚声と悲鳴とが聞こえて来た。
「ここに曲者! ……一人目付けた!」
築山の方からの声である。
「何を!」と凄い突っ刎ねる声、「斃《くた》ばりやアがれーッ」ともう一声!
つづいて「ワッ」という恐ろしい悲鳴!
七福神組の一人が、一ツ橋家
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