道から参ることにしよう」
で、茅野雄は歩き出したが、すぐに丈《たけ》延びた雑草に蔽われ、その姿が見えなくなった。と、老樵夫は茅野雄の行った後を、意味ありそうに見送ったが、
「武道も学問もおありなさる、立派なお武家に相違なさそうだ。……郷民《ごうみん》たちは喜ぶだろう。……きっと歓迎するだろう。……が、云ってみれば人身御供《ひとみごくう》さ。お武家様にはご迷惑かもしれない。……とはいえ俺達にとって見ればなあ」
こう呟きの声を洩らした。
夏の日が熱く照っていて、ムッとするような草いきれがした。と、一匹の青大将が、草むらから姿を現わしたが、老樵夫を見ても逃げようとはせず、道を横切って姿を消した。
「どれ、そろそろ行くとしようか」
で、老樵夫は歩き出したが、ものの二間とは行かなかったろう、旅装いをした五人の武士が、茅野雄の上って来た同じ道から、上って来るのに邂逅《いきあ》った。
「これこれ」と、一人の武士が云った。
「ちょっと物を訊《たず》ねたい」
猟夫《さつお》の使う半弓を持った、それは醍醐弦四郎であったが、さも横柄に言葉をつづけた。
「旅の侍が通ったはずだ。ここに三本の道がある。
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