なる山間の住民などではなく、由緒ある人間だということに、感付くことが出来たであろう。
と、老樵夫は意味ありそうに笑った。
「ハッハッハッ、異《ちが》いますよ」
「異う? そうか、この道ではないのか」
「へいへいこの道ではございません」
「しかしこの道が広いようだが。お城下へ通っている道とすれば、この道以外にはなさそうだが」
すると老樵夫はまた笑ったが、意味ありそうに次のように云った。
「尊いお文《ふみ》にございます。天国への道は細く嶮しく、地獄への道は広うござるとな。――それ、この一番狭い道が、あなた様の道でございますよ」
(何だか風変わりのことを云う爺だ。まるでお説教でもしているようだ)
茅野雄は笑止に思いはしたが、
「ほほうさようか、この細い道か。この道を真直ぐに辿って行けば、高山のお城下へ出られるのだな」
しかし老樵夫は同じような事を、慇懃《ねんごろ》に繰り返すばかりであった。
「それ、この一番狭い道が、あなた様の道でございますよ」
「そうか」と、茅野雄は会釈をした。
「お前に訊ねてよいことをした。お前へ道を訊かなかろうものなら、すんでに別の道へ行くところだった。ではこの
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