のやることだがなあ)
 考えていたところで仕方がない。用心しいしい進んで行くことにした。
 で、茅野雄は歩き出した。
 裾べり野袴に菅《すげ》の笠、柄袋をかけた細身の大小、あられ小紋の手甲に脚絆、――旅装いは尋常であった。
 峠の路は歩きにくい、野茨が野袴の裾を引いたり、崖から落ちて来る泉の水が、峠の道に溢れ出て、膝に浸《つ》くまでに溜っていたりした。
 高山の城下へ着くまでには、まだまだ十里はあるだろう。それまでに人家がなかろうものなら、野宿をしなければならないだろう。
(急がなければならない、急がなければならない)
 で、茅野雄は足を早めた。
 こうして二里あまりも来ただろうか、峠の道が丁寧にも三つに別れた地点まで来た。
(さあ、どの道を行ったものであろうか、ちょっとこれは困ったことになったぞ)
 で、茅野雄は足を止めた。

不思議な老樵夫

 一本の道は少しく広く、他の二本の道は狭かった。
(城下へ通う道なのだから、相当に広い道でなければならない――この広い道がそうなんだろう。高山へ通っている道なんだろう)
 こう茅野雄は考えて、その広い道へ足を入れた。
 と、その時一人の老人が
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