は相違なかったが、物解りのよい男だったので、慶正卿に許されて、放逐されたということである。
(六)松倉屋勘右衛門はお菊を離縁し、真面目な大商人に帰ったそうな。
ではお菊や杉次郎や、弁太などの連中はどうしたか?
いや物語の傍流にいる、こういう人達の運命にまで、立ち入って語るのは無駄なことで、勝れた作家のやることではない。――だからうっちゃって[#「うっちゃって」に傍点]置くことにしよう。
それから数カ月経った時であった。
慶正卿の館の奥で、慶正卿と碩寿翁とが長閑《のどか》そうに話していた。
「どうだ碩寿翁、感ずるところがあったか?」
「はい、何でございますか?」
「もちろん今回の事件でだよ」
「はい、一つだけございました。……大金剛石の光を見た時、名誉も身分も財産も、生命《いのち》もいらないと思いましたことで」
「どういうところからそう思ったかな?」
「ただ、そんなように思ったまでで。……つまり、思うに、あの光が、私の良心を眩ましたもののようで」
「その答えは俺《わし》には気に入った」
慶正卿は意を得たように云った。
「ああいう素晴らしい品物だから、売ったら大金になるだろう―
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