。
こうして無二無三に走って行く。
この勢いで走ったならば、四里の道程《みちのり》などは一時間《はんとき》足らずで、走り抜けてしまうことであろう。
そうして曠野へ現われたならば、醍醐弦四郎に力を添えて、宮川茅野雄を打って取って、小枝を奪うことであろう。
「オ――イ! オ――イ! オ――イ! オ――イ!」
しかしこういう呼び声を上げて、白河戸郷の長の娘の、小枝の侍女達の命限りに、曠野を転んだり起きたりして、道程一里の白河戸郷の方へ、小枝が怨敵丹生川平の者に、誘拐《かどわか》されたということを、告げるために走って行っていることに、一方留意をしなければならない。
「オ――イ! オ――イ! オ――イ! オ――イ!」
侍女達は懸命に走って行く。
一人の侍女がまた転んだ。と、衣裳の裾が乱れて、白い脛《はぎ》が現われた。恥かしいとも思わずに、あらわな脛で立ち上ると、あらわな脛でその侍女は走った。
もう一人の侍女が地に仆れた。その瞬間に握ったのでもあろう、起き上った時に右の手に、野茨《のいばら》の花を握っていた。枝も一緒に握ったものと見えて、その枝の刺《とげ》に刺されたらしく、指から生血
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