一匹の馬が躓《つまず》いて、乗り手が逆様《さかさま》に落ちようとした。しかしその時にはもう一人の乗り手が、いち早く横手へ走って来ていて、落ちかかった乗り手を手を延ばして支えた。
やがて一団は集合したままで走った。
彼らの走って行った後に、何が残されているだろう? 踏みにじられた無数の草花と、蹄で掘られた無数の小穴と、蹴殺された幾匹かの野兎と、折られた木の枝と散らされた葉と、崩された沼の岸とであった。
一所から彼らの一団の、姿が見えなくなった時には、遥かの前方の一所に、彼らの一団が見えていた。
得物の触れ合う金属性の音と、絶えず叫んでいる警戒の声と、馬の嘶《いなな》きと蹄の音とが、一つに塊《かた》まった雑音が、一所で起こって消えた時には、既に遥かの前方で、同じ雑音が起こっていた。
不意に彼らの一団の上に、華やかな光が輝いた。空を蔽うていた森林が切れて、そこから日の光が落ちて来たからである。と、彼らの一団の中で、雪のように白く輝く物があったが、それは三頭の白馬であった。
しかし瞬間に彼《か》の一団は、輝かしい日の光の圏内から消えて、暗い寂しい物恐ろしい、森林の奥へ消え込んだ
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