ますが、それでは柏屋に瑕《きず》がつくし、呪いとあってはお島の命が、その間に取られてしまうかもしれない。これは困ったなと思いましたが、その時フッと考えついたのは、懇意にしている大通辞の、吉雄幸左衛門殿のことでした。この仁《じん》は西洋の学問が出来る。その方面で呪いというようなものを、至急に防ぐことが出来るかもしれない。……で、行ってお話をしたところ、甲必丹《キャピタン》のカランス殿が引き受けたという。……で、安心してお島を連れ出し、和蘭《オランダ》客屋の奥の部屋で、ああいうことをして呪いを破り、その上悪事の元兇の、勘三をあべこべに自滅させた訳で。……しかし、どうしてああいう事が、ああして呪いを破ったのかは、とんと私にも解りません。が、東洋流の精神科学を、西洋流の精神科学が、退治したのだとは云われましょう。……女勘助や夜叉丸は、悪い奴らではありますが、私の敬まっている館林様が、手先にしている奴らでしたから、捕えることだけは止めにしました。佃に旨を云い含めた訳です。嚇しただけで追っ払えと」

 お菊の女勘助が、お島を時々救おうとしたのは、お島に恋を感じたからであった。その勘助を妾のようにし
前へ 次へ
全166ページ中82ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
国枝 史郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング