方へ行っては! 奴ら、枕橋の方へトッ走っていまさあ!」
仙右衛門は不審そうにこう叫んだ。
「黙れ! よい、俺の云う通りにしろ!」
――で、捕り方はそっちへ走った。
そのため明和六人男と呼ばれた、六人の盗賊のその中の二人、女勘助と火柱の夜叉丸とは捕縛されることを免れた。
後日貝十郎は云ったそうである。
「柏屋の主人の六斎殿と、私とは遊里の友達なので、あの仁の死後も遺族については、絶えず注意をしていました。するとお島という一人娘が、変な病気にかかったという。そこで佃という同心に命じ、その様子を調べさせたところ、佃は目明しの仙右衛門という男を、ご用聞きにやつさせて[#「やつさせて」に傍点]調べさせたそうで。すると呪いの人形が、あそこの寮から出て来ました。その前にあの寮へ大日坊という、怪し気な修験者が入り込むことや、日頃から腹のよろしくない、叔父の勘三が入り込むことや、その勘三の妾のような女が、小間使いとして入り込んだという、そういうことが解っていましたので、さてはお島を呪い殺し、勘三が柏屋を乗っ取る気だなと、こう目星をつけたという訳で。一味を引っ捕えて調べるのは、訳のない話ではあり
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