小間使いに雇った。美しい若い勝ち気な女で、人もなげに振る舞うこともあったが、それだけ万事に気が付いて、浮世の表裏をよく知っている女、そう云った女に異存はなかった。
「よいお前の話し相手になろう」
お菊のことをお島へこう勘三は云った。
しかし事実はそうではなくて、そのお菊の話し相手になるのは、かえって叔父の勘三なのであった。お菊が小間使いにはいって以来、勘三はしげしげこの寮へ来て、お菊を側へ引きつけて、ふざけたり酒の酌をさせたりした。噂によるとお菊と勘三とは、以前から知っている仲であって、それでお菊を小間使いとして、この寮へ入れたのだということであった。いわば勘三はお菊という女を、名義だけをお島の小間使いとし、事実は自分の妾として、この寮へ引き入れたということになる。そのお菊はどうかというに、これは勘三をむしろ嫌って、お島へ好意を寄せていた。姉のように優しい慈愛の眼で、よくお島を見守ったりした。で、お島もお菊に対して、好感を持たざるを得なかった。いやいやむしろ好感以上の、同性の恋というような、ああ云った特殊の感情をさえ、お島は持たざるを得なかった。もっともそれをそそった[#「そそった
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