」に傍点]のは、小間使いのお菊ではあったけれど。
ある時などは二人の女が、お島の部屋で物も云わず、互いにその手を握り合って、互いに頬を寄せ合って、うっとり[#「うっとり」に傍点]としているようなことがあった。同性ではあるが二人の肌が、着物を通して触れ合って、その接触から来る温《あたた》かみを、味わい合っていると云いたげであった。
お島の憂欝を祈祷《きとう》によって、快癒させようと心掛けて、大日坊という修験者を、この寮へ出入りさせて、祈祷させるように取り計らったのは、お菊が小間使いとして住み込んで、十日ほど経ってからのことであった。云い出したのは勘三であった。お菊は好まない様子であった。それだのに勘三はある日のこと、お菊に向かってこんなことを云った。
「お前が大日坊を勧めたのじゃアないか。何んだ、それだのに今になって」
大日坊は物々しい、白の行衣などを一着して、隔日ぐらいにやって来て、お島の前で祈祷をした。
と、どうだろう、娘のお島は、そういう祈祷が始まった頃から、例の奇病に取りつかれてしまった。しかし勘三も大日坊も云った。
「病気の癒《なお》りかけというものは、かえって苦しみを
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