ている鏡の反射とで、他界的と云おうか夢幻的と云おうか、そう云ったような言葉をもって、形容しなければならないような、微妙な暗さに色彩《いろど》られている。
お島と貝十郎と幸左衛門とが、はいって行ったところの奥の部屋は、そう云ったような部屋であった。
すぐにお島は恍惚《うっとり》となった。その部屋の光景に魅せられたのである。
紅毛人は立ち上がったが、お島の顔を射るように見た。それから幸左衛門へ何やら云った。異国の言葉で云ったので、一言もお島には解らなかった。
幸左衛門が異国の言葉で、紅毛人へ何か答えた。それからお島へ囁《ささや》くように云った。
「和蘭《オランダ》の甲必丹《キャピタン》カランス殿じゃ。このお方がお前様を助けてくださる」
そこでお島は頭を下げ、真心《まごころ》からオドオドとお礼を云った。
「カランス様有難う存じます。どうぞよろしくお願いいたします」
もちろん日本語で云ったのであるから、カランスには意味は解らなかったが、お島の態度のつつましさが、その好感を招いたらしく、彼は頷いて微笑をした。と、その時貝十郎が、お島の耳もとで囁いた。
「そなたの苦しい境遇と、そなたの
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