庭へ射し出た燈火の光で、陣十郎を認めた鴫澤主水は、叫ぶと同時に刀をひっ掴み、庭へ躍り出ると積る怨み、ほとんど夢中で斬り込んだ。
「わっ」
陣十郎は地に仆れた。
片手にお妻を抱えていた。
しかも片足は不具であった。
満足な方の右の足の、股の辺りを斬られたのである。
とその瞬間、澄江が刀を抜きそばめ、縁から庭へ飛び下りた。
「澄江殿かアーッ」と死期迫った声で、陣十郎は呼ばわった。
「其方《そなた》に懸想したばかりに……が今では二人一緒に、木曽街道の旅はしたが、躰に操に傷付けなかったことを、陣十郎の本性に、善心のあった証拠として心はればれ存じ居る……いざ主水拙者を討て! その前にこの女を!」
お妻を放すと放した手で、刀引抜きお妻の肩を、胸にかけて割りつけた。
「ヒ――ッ」と仆れてノタウツお妻! でも断末魔の息の下で、
「主水様、この世の名残りに、お目にかかれて本望でござんす……二人一緒に旅はしましたが、とうとう最後まで赤の他人……今はやっぱり陣十郎殿の女房……良人《おっと》に討たれて死にまする」
「討て主水! いざ立派に!」
「よい覚悟! 討つぞ陣十郎!」
主水の切り下した刀の
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