下に、陣十郎の息は絶え、それに寄りかかってお妻も死んだ。
 間もなくそこへ駈けつけて来たのは逸見多四郎と秋山要介とであった。

 主水と澄江とが婚礼したのは、その翌年のことであって、仲のよい夫婦として榊原家では同僚たちがうらやんだ。
 多四郎と要介とは親友となり、井上嘉門の大宝財の、使用方などについて相談などをした。
 源女は本心を取りもどし、女芸人として名声を馳せ、杉浪之助はその後援者として、何くれとなく世話をしてやった。
 赤尾の林蔵と高萩の猪之松とは、一時和睦はしたものの、やはり両雄ならび立たず、その後対抗するようになったが、それは後日の出来事であった。



底本:「国枝史郎伝奇全集 巻四」未知谷
   1993(平成5)年5月20日初版発行
初出:「山形新聞」
   1936(昭和11)年3月〜8月18日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、以下の場合には大振りにつくっています。
「戸ヶ崎熊太郎」「広谷ヶ原」
※底本は、「行方/行衛」、「提燈/提灯」、「綺麗/奇麗」、「子分/乾兒/乾児/乾分」、「仰有る/有仰る/仰言る」を混在させていますが、
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