は……」
「さようさよう」と嘉門は云った。
「今後これまでのような保存のやり方では、よろしくないように存ぜられまする……それにこのように貴方《あなた》様へ財宝の在り場所お知らせした以上、今後ともお力添《ちからぞ》えをいただいて、この財宝の使用方につき、研究いたしたく存じまする」
「結構、何なりとお力になりましょう」
 それにしてもどうしてこの二人が、こんな逸見家などにいるのであろう?
 それは例の騒動から嘉門や多四郎たちは木曽福島に遁れ、そこから共に名古屋の地へ来、逸見三家の実際の主人が、井上嘉門その人だったので、まず名古屋逸見家の屋敷へ、一同入ったのにすぎないのであった。


 この時|主家《おもや》の方角から、喧騒の声が聞こえてきた。
 嘉門と多四郎とは眼を見合せたが、内蔵を出ると扉をとじ、主家の方へ走って行った。
 見れば、一大事が起こっていた。
 得物を持った多数の乞食が、撞木杖をついた浪人に指揮され、家財を奪おうとしているのを、家の者が防いでいるのであった。
 編笠を刎ねのけた撞木杖の武士は、ほかならぬ水品陣十郎であった。
 その陣十郎は右の片手で、お妻の襟がみを掴んでいた
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