ら、一刀に斬った奴なのだな)
こう思ったからである。
乞食の一団は逸見屋敷の裏門の前で足を止めた。
逸見屋敷の巨大な内土蔵の中に、二人の人間が話していた。
一人は馬大尽の井上嘉門であり、もう一人は逸見多四郎であった。
二人の眼前にあるものといえば、鋲や鉄環で鎧われたところの、巨大ないくつかの唐櫃であり、その中に充ちている物といえば、黄金の延棒や銀の板や、その他貴金属の器具や武具であった。
昭和年間の価値に換算したら、何百萬両になろうとも知れなかった。
「なるほど」と多四郎は溜息をしながら云った。
「伝説以上の莫大な財産で」
「さようで」と嘉門は頷いて云った。
「名古屋逸見家にある分だけが、これだけなのでございます……。この他に知多の逸見家にも、また犬山の逸見家にも、これほどの財宝が蔵してありますので」
「その三家を支配している者が、貴殿井上嘉門殿なので」
「はい代々井上嘉門が支配いたして居りました。……で、この秘密を保つために、逸見三家は家憲として、外界《そと》との交際を避けて居りました」
「それは聡明なやり口ではござるが、しかしこれほど莫大な財宝を、死蔵いたすということ
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