《じょう》の目でなあ」
「俺が死んだらオイ高萩の、俺の縄張俺の乾兒、お前|悉皆《みんな》世話を見てくれ」
「心得た、きっと見る。その代わり俺が死んだ時には……」
「俺が悉皆みてやろう」
「心残りはねえと云うものだ」
「もつれ[#「もつれ」に傍点]にもつれ[#「もつれ」に傍点]た二人の仲が、今夜こそスッパリとかた[#「かた」に傍点]がつく、こう思うと気持がいいや」
「これまでは四辺《あたり》に人がいて、勝負するにもこだわり[#「こだわり」に傍点]があったが、今夜こそ本当に二人だけだ、思う存分切り合おうぜ」
「じゃアそろそろはじめようか」
「やろう、行くぜ、高萩猪之松!」
「さあ抜いた、林蔵来い!」
 甲源一刀流と新影流! 勢力伯仲の二人の博徒!
 構えは同じ中段に中段!
 逸見多四郎と秋山要介と、当代一流の剣豪を、師匠に取って剣道を、正規に学んだ二人であった。
 位い取りから呼吸《いき》づかいから、正しく鋭く隙がない。
 が、若いだけに赤尾の林蔵、やや気をいらち一気に勝負と、相手の刀磨り上げ気味に、ジリジリと[#「ジリジリと」は底本では「ヂリヂリと」]進み躍り込もうとした途端、
「む――
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