なかったが、その中には女もい、老人も若者もいるようであった。
 何より澄江を驚かせたのは、その人達が痩せていることで、それはほとんど枯木のようであり、枯木が人間の形をしてい、それが襤褸屑《ぼろくず》を纏っている。――そう云ったように痩せていることであった。
 そう、衣裳は纏っていた。が、その衣裳は形のないまでに、千切れ破れているのである。
 物の書《ほん》で見た鬼界ヶ島の俊寛《しゅんかん》! それさながらの人間が、そこに群れているのである。
「駄目だよ、娘っ子、上れやアしねえ。いくら上っても上れやしねえ」と、その中の一人がカサカサに乾いた、小さな、力の弱い、しめ殺されるような、不快な声でそう云った。
「秣《まぐさ》の山だ、なア娘っ子、お前が一所懸命上ろうとしているそいつ、そいつア秣の山なんだ。秣の山の斜面なんだ。……乗れば辷る、足をかければ辷る。二間と上った者アねえ。無駄だから止めにしな」
「アッハッハッ」
「ヒッヒッヒッ」
「フッフッフッ」
「ヘッヘッヘッ」
 みんなが揃って笑い出した。
 嘲ったような、絶望したような、陰険そうな、気の毒がったような、気味の悪い厭アな笑声であった。

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