ち谷底まで追い返された。
(おや)と思いながら又上った。
一間あまり上ったかと思うと、非常に気持よく非常に滑らかに、スルスル谷底へ辷り落ちた。
(まあどうしたというのだろう?)
澄江には不思議でならなかった。
で、土を取り上げて見た。
それは土ではないようであった。カラカラと乾いて脆くなってはいたが植物の茎や葉のようであった。
植物の茎や葉が永い年月、風雨霜雪に曝された結果、こまかいこまかい砂のようになったもの! それのように思われた。
そういう物が斜面を厚く、そうして高く蔽うているのだ。――
で、その上へ人が乗れば、重さに連れてそれが崩れ、どこまでも無限に崩れ崩れて、人を下へ辷り落とす!
(では上って行くことはできない!)
又ゾッと澄江は悪寒を感じた。
3
(ではもう一度|験《ため》して見よう)
こう思って澄江はまた上り出した。
と、背後から笑う声がした。
驚いて澄江は振り返って見た。
いつの間にどこから来たものか、五六人の人間が、数間《すうけん》離《はな》れた一所に、一緒に塊まって立っていた。
月光の中で見るのであるから、ハッキリしたところは解《わか》ら
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