く流れている、そういう水面《みずも》には月光ばかりが銀の延板のそれかのように、平らに輝いているばかりであった。
川巾は随分広かった。
そうして対岸には屏風のような、切り立った高い断崖が、険しく長く立っていた。
澄江はゾッと悪寒を感じた。
(どうして馬は沈んだろう?)
もしその川が深かったら、馬は泳いで行くはずである。
もしその川が浅かったら、馬は歩いて渡るはずである。
それだのに沈んでしまった。
(おお川は底無しなのだ!)
そう、それに相違ない。
水そのものは浅いのであるが、底は泥の堆積で、幾丈となく深いのだ。で、そこへ踏み入ったものは、その泥に吸い込まれ、永久沈んでしまうのだ。
ゾッと澄江は悪寒を感じた。
(川を越しては逃れられない)
澄江はフラフラと立ち上った。
それから自分が転がり落ちて来た、山の斜面を振り仰いで見た。
斜面は洵《まこと》になだらかで、一本の木立も、一つの丘も、一つの岩も、何もなかった。
下口《おりくち》までは高く遠く、容易に達しがたく思われたが、上るには難なく思われた。
澄江は斜面を上り出した。
すぐツルリと足が辷《すべ》り、たちま
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