いかに私が田夫野人でも、何で本気で婦人に対し、あのような所業に及びましょうぞ。あれは高萩の猪之松どんの乾児衆のやった仕事なので。ただ私はゆきがかりで、そいつをご馳走にあずかろうと、心掛けたばかりでございますよ。が、それさえ不所存至極! そこで平にあやまります。何卒ご用捨下さりませ……さてこれで以前《むかし》のことは、勘定済みとなりました。次は将来《これから》のご相談で。……ところでちょっとご相談の前に、申さねばならぬことがありますのでな。……」


 ここで嘉門は莨《たばこ》を喫《の》んだ。
 持ち重りするような太い長い、銀の煙管《きせる》を厚い大きい、唇へくわえてパクリと喫《す》い、厚い大きい唇の間から、モクリモクリと煙を吐いた。
 どうしても蝦蟇が空に向かって、濛気を吐くとしか思われない。
「何かと云いますに私という人間、一旦やろうと思い立った事は、必ずやり通すということで!」
 うまそうに莨を一喫みすると、そう嘉門はネットリと云った。
 さよう、嘉門はネットリと云った。
 が、そのネットリとした云いぶりは、尋常一様の云いぶりではなく、馬飼の長、半野蛮人の、獰猛敢為の性質を見せた
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