えた。(どうして陣十郎と主水さんが、一緒になんかいたのだろう?)


 敵同士の主水と陣十郎が、一緒にいるということが、お妻には不思議でならなかった。
(主水さん、それでは人違いであろうか?)
 そうとすれば何でもなかった。
 世には同名の異人がある。
 人違いであろう、人違いであろう!
 そう思うとお妻にはかえって寂しく、やはり今の主水さんが、恋しい主水さんであってくれて、自分の身近にいてくれる――そうあって欲しいように思われるのであった。
 恐ろしいは陣十郎の居ることであった。
(逢ったら妾ア殺されるだろう)
 追分宿の乱闘で、殺されようとして追い廻されたことが、悪寒となって思われて来た。
 ポンと多四郎は手を拍った。
「解った! 闇だからよかったのだ。……それで『逆ノ車』が破れたのだ。……では昼なら? 昼破るとすると?」
 じっと考えに打ち沈んだ。
「ナ――ンだ」とややあって多四郎は云った。「ナ――ンだ、そうか、こんなことか! ……こんな見易い理屈《こと》だったのか! ……よし、解った、これで破った、陣十郎の『逆ノ車』俺においては見事に破った!」
 主屋に招じ入れられたが、嘉門
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