思ったが、
(ナーニ、こうなりゃこっちも必死、必勝の術で「逆ノ車」で……)
見やがれとばかり中段に構え、闇の大地をジリジリと[#「ジリジリと」は底本では「ヂリヂリと」]刻み、除々にせり[#「せり」に傍点]詰め進んで行ったが、例の如くに水の引くように、スーッと刀を左斜めに引き、すぐに柳生の車ノ返シ、瞬間を入れず大下手切り!
が、
鏘然!
太刀音があって……
美事に払われ引っ外され、続いて叫ぶ武士の声がした。
「『逆ノ車』! さては汝《おのれ》、陣十郎であったか、水品《みずしな》陣十郎! ……拙者は逸見多四郎じゃ! ……師に刃向こうか、汝悪逆!」
「あッ! ……しまった! ……主水逃げろ!」
木間をくぐって盲目滅法に、逃げ出した陣十郎の後につづき、主水も逃げて闇に没した。
「まあ陣十郎さんに主水さん!」
すぐに女の驚きの声が、逸見多四郎の背後《うしろ》から聞こえた。
「お妻殿ご存じか?」
「はい。……いいえ。……それにしても……」
「それにしても、うむ、それにしても、あの恐ろしい悪剣を……『逆ノ車』をどうして破ったか?」
呟き多四郎は考え込んだ。
(それにしても)とお妻も考
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