見て置こうと、こう思って出て来たのであった。
林のような植込みの中に、ポツリポツリと幾軒とない、立派な屋敷が立っていて、もう夜も相当更けていたからか、いずれも戸締り厳重にし、火影など漏らしてはいなかった。
と、三人の歩いて行く行手を、二人の武士が歩いていた。
この家へ泊まっている客であろう。
そう思って要介は気にも止めなかった。
が、そこは人情で、自分もこの家の客であり、先方の二人も客であるなら、話して見たいとこんなように思い、その後をソロソロとつけ[#「つけ」に傍点]て行った。
植込を抜け幾軒かの屋敷の、前を通ったり横を通ったりして、大略《おおよそ》五六町も歩いたであろうか、その時月夜の空を摩して、一際目立つ大屋敷が、その屋敷だけの土塀を巡らし、その屋敷だけの大門を持って、行手に堂々と聳えていた。
(これが嘉門の住居だな。いわば本丸というやつだ。いやどうも広大なものだ)
要介はほとほと感に堪えた。
4
先へ行く二人の客らしい武士も、その屋敷の広大なのに、感嘆をしているのであろう、しばし佇んで眺めていたが、土塀に添って右の方へ廻った。
要介たちも右の方へ廻った。
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