てそういう人々の従僕――そういう人々と家々によって、この一劃は形成され、自給自足しているのであった。
 要介達の泊まっている家は、宗家嘉門の門の中の平屋建ての一軒であった。
 さてその夜は月夜であった。
 その月光に照らされて、二梃の旅駕籠が入って来た。


 二梃の駕籠の着けられた家も、客を泊めるための家であったが、要介達の泊まっている家とは、十町ほども距たっていた。
 主水と陣十郎とが駕籠から出た。
 そうして家の中へ消えて行った。
 こういう大家族主義の大屋敷へ来れば、主人の客、夫婦の客、支配人の客、従僕の客、分家の客、新家の客と、あらゆる客がやって来るし、ただお屋敷拝見とか、一宿一飯の恩恵にとか、そんな名義で来る客もあり、客の種類や人品により、主人の客でも主人は逢わず、代わりの者が逢うことがあり、従僕の客でも気が向きさえすれば、主人が不意に逢ったりして、洵《まこと》に自由であり複雑であったが、感心のことには井上嘉門は、どんな粗末な客であっても、追い返すということはしなかったそうな。有り余る金があるからであろうが、食客を好む性質が、そういうことをさせるのであった。
 要介は心に
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