に磁気でもあって、己が鉄片ででもあるかのように、主水は思わず一歩出た。
陣十郎の刀が返った。
ハ――ッと主水は息を呑んだ。
瞬間怒濤が寄せるように、大下手切り! 逆に返った刀!
見事に胴へダップリと這入った。
「ワッ」
「ナーニ切りゃアしないよ」
もう陣十郎は二間の彼方へ、飛び返っていて笑って云った。
「どうだな主水、もう一度やろうか」
「いや、もういい。……やられたと思った」
主水は額の冷汗を拭いた。
また二人は並んで坐った。
「どうだ主水、破れるか?」
「破るはさておいて防ぐことさえ……」
「防げたら破ったと同じことだ」
「うん、それはそうだろうな」
「どこがお前には恐ろしい?」
「最初にスーッと左斜へ……」
「釣手の引のあの一手か?」
「あれにはどうしても引っ込まれるよ」
「次の一手、柳生流にある、車ノ返シ、あれはどうだ?」
「あれをやられるとドキンとする」
「最後の一手、大下手切り! これが本当の逆ノ車なのだが、これをお前はどう思う?」
「ただ恐ろしく、ただ凄じく、されるままになっていなければならぬよ」
「これで一切分解して話した、……そこで何か考案はないか?」
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