しからば真剣!」
「白刃の立合い!」
「いざ!」
「いざ!」
 サ――ッと三間あまり、二大剣豪は飛び退ったが、一度に刀を鞘走らせると、火事の光りに今はこの辺り、白昼《ひるま》よりも明るくて、黄金の色を加えて赤色、赤金色の火焔地獄! さながらの中にギラギラと輝く、二本の剣をシ――ンと静め、相青眼に引っ構えた。
 これを遥かに見聞して、驚いたのは林蔵と猪之松で、
(俺らのために先生――師匠が、――師匠同志が切り合ったでは、此方《こちとら》の男がすたって[#「すたって」に傍点]しまう! もうこうなっては遠慮は出来ねえ! 控えていることは出来なくなった!)
 両人ながら同じ心で、同じ心が言葉になり、
「さあ手前達かもう事アねえ、猪之の同勢へ切り込んで、猪之の首をあげっちめえ!」
「さあ野郎共赤尾へ切り込め! 林蔵を仕止めろ仕止めろ!」
 ド――ッとあがった鬨の声!
 ムラムラと両軍走りかかった。
 白刃! 閃き! 悲鳴! 怒声! 仆れる音! 逃げつ追いつ、追いつ逃げつする姿!
 混乱混戦の場となったが、この時|宿《しゅく》もいよいよ混乱! 混乱以上に阿鼻叫喚の焦熱地獄となりまさり火事の焔の熱気
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