を見てやろうと、源女を連れて高萩村の、猪之松方へ行ったところ、本日井上嘉門ともども、木曽へ向かって行ったとのこと、それではこちらも木曽へ行こうと、東馬をも連れて旅立ったので、途中で馬大尽や猪之松の群と、遭遇《あ》わなければならないはずなのであるが、急いで多四郎が間道などを歩き、かえって早くこの地へ着き、日のある中《うち》に宿を取ったため、少し遅れてこの地へ着き、先を急いで泊まろうとせず、夜をかけて木曽の福島へ向かう、猪之松と馬大尽との一行と、一瞬掛け違ってしまったのであった。
さて門口に立って見れば、宿の混乱言語に絶し、収拾すべくもなく思われた。
群集が渦を巻いて街道を流れ、その間を馬の群が駈け巡り、その上を火の子が梨地《なしじ》のように飛んだ。
「これは危険だ、ここにいては不可《いけ》ない、野の方へ! 耕地の方へ!」
こう云って多四郎は群集を分け、その野の方へ目差して進んだ。
その後から二人は従《つ》いて行ったが、いつか混乱の波に呑まれ、全く姿が見えなくなってしまった。
鍵屋で眼を覚まして起き上った澄江は、傍らを見たが陣十郎が居ない。
(どうしたことか?)と思ったものの、
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