事であるからで、それにそういう次第なら、あっし[#「あっし」に傍点]達が味方をいたしますから、主水兄妹を探し出し、返り討ちにしておしまいなせえと、こんなことを云うには陣十郎の剣技が、余りにも勝れて居る、といって主水兄妹に、器用に討たれておやりなせえとは、なおさら云えた義理でなく、それで黙っていたのであった。
で、乾児達は顔を見合わせた。
と不意に陣十郎は、振り冠っていた燈《ひ》に光る刀を、ダラリと力なく下げたかと思うと、にわかに疑わしそうに寂しそうに、むしろ恐怖に堪えられないかのように、ウロウロとした眼付をして、勝手元に、乾児達の中に、主水が居りはしないだろうかと、それを疑ってでもいるかのように、一人々々の顔を見たが、
「疑心! こいつが不可《いけ》ないのだ! こいつから起こるのだ、弱気がよ! ……と、守勢、こいつになる!」再び中段に刀を構えた。「こいつが守勢、守勢になると、かえって命は守られぬ。……それよりも、守勢の弱気になると、ヒッヒッヒッ、情婦《おんな》にさえ、嘗められ裏切られてしまうのさ! ……そこでこいつだ積極的攻勢!」また上段に振り冠った。
「攻勢をとってやっとこさ[#
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