りの掛声がある。
しかるに二人のこの試合、追い込み得べき機会などなく、撃って出ようとするような、隙を互いに見せ合わず、まして一打ち打ち勝つという、そういうことなどは絶対になかった。
で、二人ながら掛声もかけず、同じ位置で同じ構えで、とはいえ決して居附きはせず、腹と腹との業比べ、眼と眼との睨み合い、呼吸と呼吸との抑え合い、一方が切先を泳がせれば、他の一方がグッと挫き、一方が業をかけようとすれば、他の一方が先々ノ先で、しかも気をもって刎ね返す、……それが自ずと木刀に伝わり、二本の木刀は命ある如く、絶えず幽かにしかし鋭く、上下に動き左右に揺れていた。
更に長い時が経った。
と、要介の右の足が、さながら磐石をも蹴破るてい[#「てい」に傍点]の、烈しさと強さと力とをもって、しかもゆっくり[#「ゆっくり」に傍点]と充分に粘り、ソロリとばかり前へ出て、左足がそれに続いた。
瞬間多四郎の左足が、ソロリとばかり後へ下り、右足がそれに続いた。
で 間だ! 静止した。
長い間! ……しかし……次の瞬間……ドドドドッという足音が響いた。
11[#「11」は縦中横]
奔流のように突き進む要介!
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